エピローグ:PW
気が付いたら、周りは赤一色に染まっていた。何が起こったのかよくわからなかった。だがだんだんと意識がはっきりするにしたがって気が付きたくないことに気が付いてしまった。その赤色は友人たちの血の色であることは周りに飛び散っていた手足や服で判った。
悪夢だと思った。信じたくなかった。後悔した。考えた。
自分だけがなぜか生き残り、なぜこういった結末になってしまったのかを考えた。
どこがいけなかったのか。どこで道を間違えたのか。考えても考えても謎は深まるばかりであった。
近くで音がした。どうやら救助が来たらしい。安堵した。
救助に来てくれた人を見てもう一度意識が落ちた。落ちる一瞬暗闇の奥で何かが動いていた気がした。
病院で目が覚めたのは、救助されてから2日後のことであったらしい。
結論から言うと、自分は「あそこ」起きたことはほとんど覚えていなかった。「あそこ」と認識できるのも、救助された場所がそこであったからだ。また、声が出せなくなっていた。医者曰く、身体には異常がなかったらしいので精神的によるものだろうとのこと。
1ヶ月が経ち、学校への復帰ができるようになった。声が出せなくなった以外には日常生活への影響はなかった。学校では計3人の行方不明があったらしい。自分はその人たちのことは「覚えていなかった」。周りの友達たちは自分とその人たちはとても仲が良かったらしい。
なぜその人たちのことを忘れているのだろうと考えてみたがピリッとした嫌な痛みが頭を走ったので、やがてその人たちのことを考えるのはやめることにした。