Kapi_H_cordata’s blog

たらたらと何か書きたいから始めたものです。

1-1

次の日の朝。

一時間目にある古典の小テスト勉強をやっているふりをしていると、

「調べてきた?私なんかしっかり七個見つけてきたのよ。ねぇ聞いてんの?」

と薫がやかましく聞いてきたので、面倒くさいと思いつつも口を開こうと思ったが、予鈴が鳴ったので止めた。手を振って適当にあしらった。会話をするよりも先生にがみがみ言われる方が面倒なのだから。しかし、七個見つけてきたと言っていたが、どのようにして七不思議を決めていくのだろうか。被ったらその不思議は探すことに決定するだろうが、もし彼奴が持ってきた不思議を落とすというのは骨が折れそうで頭が痛くなった。

「はぁ、放課後どうなるんだろうな。」

 

放課後。

開口一番に、

「さぁ、七不思議を決めるわよ。私はなんと七個も見つけてきたんだからね。」

~薫の七不思議~

・山にそびえ立つ廃城

・デパート地下の大空間

・廃屋に眠る埋蔵金

・理科室に現れる謎の男

・しゃべる爬虫類

・真夜中の神社の神隠

・開かない本屋

 

似たようなものもあるが一緒として考えていいのかもわからない。いくつかは調べてるうちに見たことがあるが大体こんなのは嘘に決まってるっていうので見逃していたしなぁ。次は一応自分から言っておこうか。

~自分の七不思議

・深夜の高校の体育館倉庫に出入りするよくわからない影

・釣り堀が毎月一.二回程度荒らされる

・アーケード街にたまに現れる謎の本屋

・山に眠る埋蔵金

 

「ふぅん、まあまあ調べてきているんじゃないの。」

なんなんだ。なんでそんな偉そうなのだ。今更そこに突っ込む自分ではないので何も言うまい。残りお二人さんだが。

「時雨は何も調べてきてないのか。先に小雪でもいいが。」

「僕はこういったものかな。」

~時雨の七不思議~

・山の廃屋

 

「え、これだけか。時雨、手を抜いていないか。」

基本的には真面目(今朝の古典の小テストは満点だったらしい、自分は六割ぎりぎりだった)な奴が一個だけというのにかなり驚いてしまい思わず口に出していた。しかし、時雨の顔を見るに特に申し訳なさそうな顔をしているわけではなく、むしろしたり顔なことに腹が立つ。

「いや、申し訳ない。でも、気づいたんじゃないか。」

「何によ。あんたが学業しかできないってことが?」

「えぇ、そんなこと思ったのか。心外だなぁ。違うよ。埋蔵金が山の中の廃屋にあるってことだよ。」

「たしかにそうだな。じゃあ、一つはそれに決まりだな。小雪は何かあるか。」

「特には……でも、しゃべる爬虫類はいると思うから。………それ見たい。」

小雪わかっているじゃないの。メルヘンな感じで私も気になっていたのよ。」

なるほど、二つ目は爬虫類か。しゃべる爬虫類というと「不思議の国のアリス」に出てきたビルを思い浮かべるが、トカゲなのだろうか。もしかすると蛇と話せるらしい蛇使い的なものもいるのだから蛇なのだろうか。いやいや、何を自分は本気で考えているんだろうか。そんなもの存在するはずないのに。

それにしても、小雪の発言で気になる点が一つ。なぜ小雪は「いると思う」といったのだろうか。聞こうにしても次の七不思議の話に入っていたので帰りにでも聞くとしよう。

「三つ目は本屋かしらね。そこでぼっーとしてるアホも本屋について言ってるわけだし。」

「だね。しかしアーケード街はとっくにさびれてしまっているし、看板も下ろしてしまっている店も多いのだから見つけるのに苦労はしないかもね。」

アホにアホと言われたことに驚いたが、所詮アホの言ってることなのだから偉い自分は無視することに決めた。なんて言ったって、彼奴はアホなのだから。

本屋か。基本的にデパートの書店にしか行かなくなっているからアーケードの本屋は少しワクワクするな。怪しい本とか売ってそうだしな。

「あとはもう大体で決めましょうか。私のやつでいいんじゃないの。どうせ釣り堀とか猫のせいでしょ。体育館のよくわからない影も猫よ。」

「猫に謝れ。何でもかんでも猫のせいにするな。そんなこと言うのならデパートの大空間なんて在庫置き場に決まってるだろ。ほかにも地下水路の可能性もあるだろ。」

「まぁ、二人とも落ち着いて。単なる課題なのだから七個全部全力じゃなくていいじゃないか。釣り堀は店主に聞きに行けばいいことだし。デパートの地下はデパートの人に聞けば済むしね。」

といういい具合に仲介されてしまい、四つ目と五つ目が決まった。そして、時雨の初めのころに言っていたこの町の地形にまつわる話として「山の廃城」が六つ目として決まった。これにはあのアホも「ふぃーるどわーくができるのだからいぞんっていうのはないわ。」と言っていた。

「7つ目はこのまま学校に居ればできそうだから、理科室か体育館でいいんじゃないか。」

「そうだね。どっちもやって良さそうなのを書くことにしようか。」

「私は理科室がいい。私が見つけてきたのだから。」

「いや、薫がいると理科室で物音立てそうだし、僕と小雪でいいんじゃないかな。」

「おい、時雨。これと一緒に見張りとか無理だから、自分は理科室で時雨が体育館の方がいいんじゃないか。」

ここから先は客観的に見て子供のようなアホと「大人」との言い合いが始まったから割愛させていただく。

帰宅時間になり、理科室組と体育館組に分かれて七不思議の検証を始めることになった。お願いだから、あっちで面白いことが起きてくれよ。